監修・ピアノ ウバルド・ファッブリ

プロフィール

ウバルド・ファッブリ氏は、ヨーロッパやアメリカでヴォーカル・コーチ/コレペティトゥーアとしての地位を確立している。アメリカでのマスタークラスの開催数はゆうに100回を超え、ファッブリ氏が芸術監督を務めるモンテフェルトロ音楽祭のアカデミーには世界中から歌手とピアニストが押し寄せる。

 

 日本とファッブリ氏の関係はファッブリ氏が故重松みか氏のメイン・コーチであったことから始まった。重松氏は2019年まで10年間、モンテフェルトロ音楽祭のディレクターを務め、日本人を連れて参加されていた。またファッブリ氏は2018年には日本の大阪音楽大学で、2018年と2021年には洗足音楽大学でもマスタークラスを展開している。


 ファッブリ氏は1986年から2001年にかけてロッシーニ・オペラフェスティバルとアカデミア・ロッシニアーナでファカルティに名を連ねた。同時期にC・アバド、A・ゼッダ、そしてニューヨークシティオペラ(指揮S・ホワイト)などで、副指揮者/音楽スタッフとしても活躍した。

 

 ピアニストとしては、イタリア国営テレビ主催、第5回国際マリア・カラスコンクールをはじめ、多くの国際声楽コンクールで公式ピアニストとして、ヴォーカル・コーチングと演奏を行った。

 

 ファッブリ氏は現在でも多くの世界的歌手とも共演を重ねているが、中でもルチアーノ・パヴァロッティとの共演の歴史は特筆すべきであろう。ファッブリ氏はパヴァロッティ氏のスタジオを長く預かっていた。1989年にはハンガリーのテレビ局のルチアーノ・パヴァロッティの半生を描くドキュメンタリーでもピアニストを務めている。

 

 2000年には、ウォレン・ジョーンズ氏に招かれ、日本では後藤龍が卒業したことで知られるマンハッタン・スクール・オブ・ミュージックでマスタークラスを開催。以降ヨーロッパ各国に限らず、アメリカでも数多くマスタークラスを展開することとなる。ファッブリ氏の確立したイタリア語歌唱法メソッドは世界的なスタンダートとなり、アメリカ最高の音楽院であるカーティス音楽院を筆頭に、ジュリアード音楽院など100以上の世界中のフェスティバルや音楽院にボーカル・コーチ/演奏者として招かれ、マスタークラスにおけるコーチングや、コンサートでの指揮/ピアノ演奏を行っている。

 

 イタリアでは、1999から2009年にかけてはCappella Musicale Santa Lucia in S. Giovanni in Marignanoの学長を務めた。1988 から 2003には、ウルビーノの“Centro Studi Italiani Opera Festival”で教鞭をとり、指揮/演奏にあたり、現在ではペーザロのロッシーニ音楽院で教鞭をとりつつ、2004年に設立したVoci nel Montefeltroの芸術監督として活躍している。2018年にはその世界的な音楽活動による貢献によりNovafeltria市から名誉市民に選出された。

 

 ロッシーニ音楽院ピアノ科卒。リッカルド・リザルティ氏に師事。その後、研究者としてはウルビーノ大学のファカルティとして現代文学科において、メロドラマと音楽の構造についても研究を重ねている。