演出:中村敬一

Stage director: Keiichi Nakamura

 中村敬一は、日本全国でオペラ演出を精力的に行う、日本を代表するオペラ演出家の一人である。中でもびわ湖ホールでは『森は生きている』『天国と地獄』『ルサルカ』『連隊の娘』『ミカド』『こうもり』をはじめとする〈びわ湖ホール 青少年オペラ劇場〉〈びわ湖ホール オペラへの招待〉シリーズの多くの演出を手がけ、来年度から新しくびわ湖ホール芸術監督になる阪哲朗氏の初のプロデュースオペラでR.シュトラウス作曲《ばらの騎士》の演出が決まっている。音楽的な視点と豊かな感性による誰もが親しめる舞台づくりは、常に各方面から高い評価を得ている。

 

武蔵野音楽大学、同大学院で声楽を専攻。卒業後、舞台監督集団「ザ・スタッフ」に所属しオペラスタッフとして活躍。以後、鈴木敬介、栗山昌良、三谷礼二、西澤敬一各氏のアシスタントとして演出の研鑚を積む。

 1989年より、文化庁派遣在外研修員としてウィーン国立歌劇場でオペラ演出を研修。帰国後、リメイク版《フィガロの結婚》、二期会公演《三部作》、東京室内歌劇場公演《ヒロシマのオルフェ》、日生劇場公演《笠地蔵・北風と太陽》などでの演出により、1995年、第23回ジロー・オペラ新人賞を受賞。

 

 2000年3月にはオペラ《沈黙》演出で、新国立劇場にデビュー。その演出は高く評価された。2001年ザ・カレッジ・オペラハウス公演《ヒロシマのオルフェ》は大阪舞台芸術奨励賞を受賞。2003年のザ・カレッジ・オペラハウスでは《沈黙》を再び演出し、公演は大阪文化祭グランプリ、音楽クリティック・クラブ賞を受賞した。本作品は、その後、2005年度新国立劇場地域招聘事業の第一回作品に選ばれ、新国立劇場での上演後、大阪での凱旋公演を経て、文化庁芸術祭大賞受賞の快挙を果たすこととなった。

オペラの台本も手掛け、松井和彦作曲《笠地蔵》、《走れメロス》、新倉健作曲《ポラーノの広場》、《窓(ウィンドウズ)》、前田佳世子作曲《どんぐりと山猫》などがある。

 

 現在、国立音楽大学・大阪音楽・洗足学園音楽大学客員教授、大阪教育大学・沖縄県立芸術大学講師。